第4章

8/20
前へ
/117ページ
次へ
行動を決定してからの行動はスムーズだった。 まず左腕を折りたたみ、ちょうど蹴りの下に位置する場所まで下げた。 その際に体全体を下げることで蹴りを逸らす角度を小さく済むようにすることも忘れない。 そして蹴りが左肘を通過する瞬間にグッと腕を上げることで蹴りの軌道をずらすことに成功した。 蹴りに思っていたよりも力が入っていたため頭を僅かに掠めたが、ほぼ完壁な回避に成功したと言っていいだろう。 トウヤ(…危なかった) 癖を見抜かれて不意を突かれた危うさもあるが、もう一つ大きな危険が潜んでいた。 それは俺が選択した回避法。 肘を覆っている鉄製の鎧は、腕を伸ばしている時であればしっかりとその効果を発揮する。 しかし肘を曲げている時には関節部分が無防備になってしまうのだ。 これは動きを円滑にするために構造上避けられない欠陥であり、騎士は常にそのリスクを考えて行動しなければいけない。 自分の力量を正しく分析した結果この選択をしたが、実際にやるとひやりとしてしまう。 リンフォード「ふぅ。やっぱり一筋縄じゃいかないなぁ。連携自体に手ごたえはあったんだけど」 トウヤ「ああ、実際いい攻撃だったぞ。次の攻撃も期待してる」 言葉の通り、段々と気持ちが高ぶってきた。 やはり力のある相手と戦うのは燃えるわ。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加