第4章

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リンフォード「もちろん。行くよ!」 攻撃を回避した時に大きく後退したため、俺たちの間は5メートルほど離れていた。 その距離をダッシュで縮めながら剣を回収するリンフォード。 彼はトップスピードのまま俺の左側から…いや、攻撃をせずに左の脇を通り過ぎていた。 俺は手を出さなかったが、仮に出されていてもきっちり対応できるような身のこなしをしているように見えた。 トウヤ(…へぇ) 俺の脇を通り過ぎたリンフォードは剣を右手に握って振り向き攻撃を仕掛けてきた。 切り付けと言っても身体を右に1回転半させてから内から外に切り下ろす斬撃だ。 それらの行動が流れるように実行されるため、魔法無しでは一苦労する。 現に今の力の籠った攻撃に押されている。 トウヤ(さすがだな。俺じゃこんな攻撃を実戦でやるのは無理だな) その攻撃を皮切りに軽快なフットワークを生かした斬撃、蹴り、体当たりが際限なく放たれる。 魔法無しでこのスピードは正直俺より速い。 身体を回転させることで遠心力を生み出しその力を利用する。 他の騎士よりも小柄で力が無い彼が対等以上に戦っていくために見つけた戦術なのだろう。 トウヤ「…まだまだ甘い」 リンフォードが左手で切り上げを放った剣の根元と俺の剣をかち合わせる。 高い金属音が鳴り響く中、一方の剣が遠くの地面へと落ちた。 その剣の持ち主は、リンフォード。
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