第4章

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彼女に声を掛けられてから、訓練場全体の空気が重苦しいものになっていることに気がついた。 この場でその変化の意味が分からないのは遠くで指導している講師ただ一人。 巻き込まれるのはごめんだと言わんばかりに、サーッと俺たちの周りから距離を取る同期たち。 くそが。 トウヤ「今度は何の喧嘩をして来たんだ?騎士になったこと自体はもう認めてるんだろ?」 フィリーネ「大会よ、武闘大会。わざわざ危険の少ない内地勤務にしてもらうために尽力したのに、お前が武闘大会に出たら意味ないだろって。つまり大会の出場に反対されたの」 トウヤ(なるほど納得。フィーネの親父さんは過保護だからな) 彼女の父親は警護隊所属レスター隊隊長の職に就く城勤めである。 隊長で分かる通り彼は上級職である騎士長に任命されている。 そして自分が騎士として勤めている経験から、娘であるフィリーネが騎士であることに反対の立場らしい。 そのせいでたびたび衝突が起こっている、という背景がある。 トウヤ(親父さんの気持ちも分かるけどなぁ…) 騎士という仕事は女性であろうと力を求められる。 男性と全く同じ仕事、昇進条件という訳では無いものの、一般的な仕事よりも危険が付きまとうのもまた事実。 ましてや一人娘。 こんな筋肉ゴリラでも危険なことはさせたくないだろう。 正直俺は天職だと思うが。
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