10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、そうだリニア。そろそろアルフィを森に連れていこうかと思ってるんだが?」
「ええ?うーん、そうねえ、でもまだ少し早いんじゃないかしら。魔導器だってまだ使えないんだし…」
父親の出した提案に、母親は驚いたような顔をした後、不安を隠しきれない顔でそう言った。
ちなみにどうやら父親の名前は『アルベルト』で、
母親の名前は『リニア』と言うらしい。
名字はまだよくわかっていない。
そして、そこにアルベルトを援護するようにアルフィがリニアに言った。
「あたしは大丈夫よ!それに何かあってもパパがいるじゃない?」
何があるんだろうか。
熊でもでるのか、その森とやらは。
ウッキウキでアルベルトとリニアを交互に見ながら了解を得ようとしているアルフィ。
しかし、リニアの表情は曇ったままだ。
「でもねえ…。あの森はウルフィンも出るし…」
リニアがチラリとアルベルトを見ると、彼はニカッと笑った。
「大丈夫だよリニア。馬で抜けるだけだから。もし出くわしても俺が何とかするよ。それにさ、アルフィも明日で6歳だろ?いつまでも村の中だけじゃあ──、」
「わかったわ。でもくれぐれも気を付けてよね」
「わかってるって。心配ないさ」
アルベルトがそう言いながら安心させるようにリニアに笑いかけるも、彼女はやはり不安そうだった。
だが、それでもやはり夫には信頼を置いているようで、アルベルトを見ていたリニアは次第に諦めたように微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!