プロローグ

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翌日。 アルベルトとアルフィは、馬に乗ってどこかへ出かけて行った。 玄関でリニアに抱き抱えられながら、それを二人で見送る。 アルフィがはしゃぎすぎて馬から落ちないと良いのだが。 丘の向こうに二人が見えなくなると、 リニアは「さて」と言いながら俺を家の中に降ろし、何やら身支度を始め出した。 裏庭にリニアの仕事場があるのは知っている。 いつものラフな仕事着に着替えているところを見るに、今日も朝から裏庭で仕事と言うわけだな。 ちなみに裏庭には行ったことがないので何の仕事をしているのかは、まだ不明である。 外だから連れていってくれないと行けないからな……。 「じゃあママは裏で仕事してくるから。イタズラしちゃダメよ」 そう言われるとしたくなる。 まあ中身は大人だし、しないがな。 リニアはそう言うと玄関を閉めて裏庭へ向かい、俺はリニアを見送ると寝室へと向かった。 このまま風通しのよいここで寝るのも良いのだが、今日の俺はそれでは終わらない。 前々から行ってみたいと思っていたのだよ。 そう、屋根裏部屋にな。 ちなみに屋根裏部屋へは梯子が一本降りてくるようになっている。 俺がベッドの陰に隠れている時、 この寝室でアルベルトが壁のレバーを下げて梯子を下ろしているのを目撃したからな。 その光景を思い出しながらレバーを見た。 到底今の俺には届きそうな位置にはない。 分かってはいたが改めて見るとやはり無理だな。 結局もう少し成長するのを待つしか無いわけだ。
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