プロローグ

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いつの間にか1歳になっていた。 気付けば二足歩行も出来るようになり、ぎこちないながらも舌に呂律が回ってきた。 まあそれでも喋れる言葉は数えるほどしか無いんだがな。 この国の言語の発音が難しいのが要因でもあるのだが。 にしても、やっぱり俺の成長速度は通常よりも少し早いようだ。 やはり最初から自我があるというのが、成長に影響しているのだろうか。 一歳になるころ、アルベルトに連れられて一人のおっさんが家に招かれた。 白髪混じりの髭を蓄えた初老のおっさんだった。 この一年で家族以外の人間を初めて見たからか、何となく新鮮だ。 「君がアルス君か。こんにちは。私はブラハム、この村の村長だよ」 「あーい。こううああむ」 言葉はほとんど理解出来るようにはなったが、やはりまだ言葉はうまく操れない。 まあ一歳程度じゃ仕方ないか。 「あら、村長。こんにちは。今日はよろしくお願いしますね」 「リニア君か。ああ、任せておきなさい」 リニアが仕事場から戻ってくると、村長と軽く会釈を交わしている。 今日は何か村長と約束でもあるのかな? おっ? 村長が俺を抱き抱え、「大きくなったものだ」と言いながら玄関へと出ていく。 「じゃあリニア、行ってくるよ」 「ええ。結果が楽しみだわ」 リニアが微笑みながら手を振り、俺を抱えた村長とアルベルトを見送っている。 俺が村長の馬に乗せられたと言うことは、どこかへ行くようだ。 アルベルトも馬に股がっていた。 いよいよ外に行けるのか! 今日までずっと家の中だったからな! 中身は成人しているせいか、流石に退屈であったのは仕方がない。
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