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8 マジかよ、もぉ! (続き)
すぐにも払うように振られた影の攻撃を、俺は咄嗟に両手で受け止める。
それで至近距離になった影を見ると、なんと中年の女性。
しかし、火事場の馬鹿力というか、
狂気に目が逝ってるのも明らかな女の力は、破壊的。
しかも女の手には、小さめといえどもナイフが握られているから
こっちも必死になる。
とにかく、無我夢中だった。
そして、訳の分からない事を叫びながらナイフを持つ女の力が
ふと軽くなったと思うと、
騒ぎを聞きつけたらしいコンシェルジュの一人が
女を羽交い絞めにしていた。
良かった……。
夢中だったものの、現実は、男のくせに押され気味だった俺は
正直、安堵した。
だが次の瞬間、俺の名前を叫んで
ルームメイトが俺の腹に手を押し当てたのが、
この場での俺の記憶の最後だった。
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