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夢も記憶も飛んだように、なんか真っ白な中からぼんやりと俺は覚醒した。
そして、じんわりと現に戻ってきた俺の耳に、女の声が聞こえてくる。
「それにしても、そんなに泣くツウちゃん初めて見た。
伯父さんと伯母さんの事故の時だって、泣かなかったのに」
それに小さな嗚咽が相槌のように入り、再び女の声が言う。
「でもさ、良かったね。
やっとツウちゃんの恋愛音痴、治してくれる人と巡り会えたんだから」
その女の「恋愛音痴」という言葉に、俺の耳が更に目覚める。
そして、
「ねえ、ツウちゃん。いつまでも臆病でいたら、ダメだよ。
確かに、伯父さんと伯母さんには、恋も愛もなかったかもしれないけど
ツウちゃんは、ツウちゃんなんだから。
好きな人ができたら、ちゃんと恋をして、想いが通じたら恋愛しなきゃ」
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