9  まぁ、なんだけどな

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ところが、目の前に立っている彼女からなかなか返事が返ってこない。 それに、今度は変な汗が浮かんできて、益々、俺の頭の中が混乱する。 しかし、 「あの、本当に奥村さんは、私でもいいのですか?」 か細く頭上に振ってきた声に、俺は「へっ?」と呟き頭を上げた。 するとそこには、困惑と不安をない交ぜにしたような彼女の顔。 それが、やはり俺の焦りを煽った。 「あの、えっと、どういう意味?」 冷静であれば、彼女の言葉の意味なんか考えずとも分かるはず。 だが、この場面で俺に冷静さを求めるのは欠片でも無理。 しかし彼女は、相変わらず少し不安げな面持ちでか細く言った。 「私、恋という感情は初めてなんです」 しかし、これを聞いた中学生並の俺のテンションは瞬時に上がる。 初恋、俺がゲットか――。
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