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ところが、目の前に立っている彼女からなかなか返事が返ってこない。
それに、今度は変な汗が浮かんできて、益々、俺の頭の中が混乱する。
しかし、
「あの、本当に奥村さんは、私でもいいのですか?」
か細く頭上に振ってきた声に、俺は「へっ?」と呟き頭を上げた。
するとそこには、困惑と不安をない交ぜにしたような彼女の顔。
それが、やはり俺の焦りを煽った。
「あの、えっと、どういう意味?」
冷静であれば、彼女の言葉の意味なんか考えずとも分かるはず。
だが、この場面で俺に冷静さを求めるのは欠片でも無理。
しかし彼女は、相変わらず少し不安げな面持ちでか細く言った。
「私、恋という感情は初めてなんです」
しかし、これを聞いた中学生並の俺のテンションは瞬時に上がる。
初恋、俺がゲットか――。
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