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第4章 ピンチはチャンス
その日は早番でオープンから出勤していた。
順番が4番目だった私は、店舗の接客は3番目までのスタッフに任せて、休憩室でのんびり新聞を読んでいた。
しばらくすると、お客様が入ってこられて、応対した女性スタッフと談笑している声が聞こえた。
「エレジーさんっ!」
10分ほどして、応対していた女性スタッフが血相を変えて休憩室に入ってきた。
話を聞くと、最初はいい雰囲気で施術をしていたんだけど、途中で急に文句を言い出したらしい。
私以外は3人とも女性だったので、対応に不安を感じ男の私に回ってきた。
「お客様、私が代わりに施術させて頂きます。」
私も13年のキャリアがあるので、まぁ誠意を尽くしてアカンかったら、しゃーないと毅然とした態度で施術を始めた。
「アンタ、うまいな。」
5分ほどして、お客様が私に言ってくれた。
機嫌が良くなったのか、90分コースだったお客様はずっと喋りっぱなしだった。
私も一緒になって話していたので、いつもなら回数を右と左を同じだけやっているんだけど、回数が分からなくなってしまうほどだった。
聞けば、そのお客様は60代の方で、自分で会社を起こし40数年経ち、今は会長職をのんびりとやっているそうだ。
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