第5章 キン肉マン

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第5章 キン肉マン

その日は遅番だった私。 夜の10時くらいに珍客が来店された。 その日は結構忙しく、スタッフのほとんどお客さんがついていた。 私ともう一人空いていたけれど、30分後に予約が入っていた。 しかも、12時くらいまで予約でパンパンに埋まっていた。 飛び込みのお客さんは、お断りしなければならなかった。 すると、1台の車が店の入口に横付けされた。 私が1番目だったので、対応しなければならなかった。 車は、助手席から一人の男性を降ろし走り去った。 私が入口の所に立ち、男性が入ってくるのを待っていた。 ・・・何か様子がおかしい。 ガラス越しに見える男性。 くの字に体を折り曲げたまま、ジッとしている。 しばらくして、くの字の状態のまま店内に入ってきた。 「あーーろ、ろくじゅっぷん・・・あーーも、もんでくれ、くれますか?」 目の焦点が定まらず、完全にいっちまった顔になっていた。 酔っ払い、しかも泥酔していた。 店の規則で、本当は飲酒しているお客さんはお断りしなければならなかった。 しかし、現実はなかなか断りづらく、少々酒が入っていても施術していた。
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