第1章

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今、私は某全国チェーンのマッサージ屋で働いている。 60分2980円(税ヌキ)という、昔の相場からいうと半値。 しかも、完全歩合制という過酷な条件だ。 私の住んでいる近くで、新しくオープンするという店で働き始めた。 面接に行く為、問い合わせてみると、驚いた事に履歴書はいらないらしい。 ただ、講習があるとの事だった。 しかし、経験者は技量に応じて免除してくれるとの事だった。 私はカイロプラクティックの治療院を14年やっていた。 自分の治療院が流行っていたら、マッサージ屋なんかでは働かない。 流行らないという事は、飯が食っていけないという事だ。 では、何故、14年も続けているのか? 話すと長くなるので、また、後ほど。 新しい店舗に面接に行くと、ベテランの女性社員の方が、数人の人間に講習中だった。 その女性社員は、入ってきた私を、頭のテッペンから足のつま先まで無表情で見つめていた。 これが履歴書の変わりなのだろう。 面接が始まり、私の経歴を聞いてきた。 「ここは経験者よりも、まったくの初心者の比率が高いのよ。」 その女性社員は、相変わらず無表情だった。 【つづく】
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