第7章 2点の男

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第7章 2点の男

ある夜のお客様。 30代の普通の体型の男性。 「こことここ、二点だけ押してくれますか?」 30分コースだったそのお客様は両耳の下のくぼみを指差して私に言った。 お客様がそう仰られるので、最初からその二点を片方ずつ親指で押し始めた。 「もっと強めでお願いします。」 私は耳の下のくぼみなんて痛いだろうから、5割くらいで押していた。 そう言われて、7割くらいで押し始めた。 「あの~もっと強くできます?」 「わたくし力は弱い方じゃないですけど、よろしいでしょうか?」 今度は自分のMAXで押し始めた。 「お客様、これくらいで大丈夫でしょうか?」 「はい、丁度いいです。」 私はもっと強くって言われたらどうしようかと、内心不安だった。それ以上は無理だったので。 しかし、親指のみ二点を全力で30分。 普通、指が痛くなったら、肘とか掌底で指を休ませるんだけど、場所が耳の下のくぼみだけに指以外使えなかった。 いつもとは違う汗のかきかただった。 なんとか30分乗りきった時には、親指は完全にぶっ壊れていた。 しかし、あのお客様痛くないのかな~? 世の中にはいろんな人がいるものだな~。
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