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第8章 私がいっち番嫌いなタイプの人間
前にも書いたけれど、基本的に、飲酒されているお客様は断らなければならない。
しかし、現実は多少酔っていても施術している。
深夜なんか、皆で飲んだ後、複数で来るお客様もいる。
ただ、1つ言えるのは、オープンスペースなので、他のお客様の迷惑にならなければ、という条件がつく。
その日の夜は忙しく、施術者が8人いたけれど、ほとんど全員施術していた。
残っていたのは、Sさんだけだった。
Sさんは、入ったばかりの新人さんで、30代の男性。
見るからに穏やかそうな人だった。
私は入り口に一番近いベッドで施術していた。
「いらっしゃいませ!」
中年の夫婦が来店された。
残っていたSさんが対応した。
「二人いけるかっ!」
明らかに、ら行の呂律が回ってないし、声のボリュームもおかしい。
断るかどうかの判断が微妙な客だった。
二人だと、30分後になってしまう。
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