第8章 私がいっち番嫌いなタイプの人間

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「あ~ん、30分待たなあかんのか!」 またしても、声のボリュームがおかしい。 始まる前から、こんな調子だったら、施術中もいちいち文句を言いそうなのは想像がつく。 これは断らなければいけないレベルだなと思った。 ただ、この手の客は断り方が難しい。 案の定、施術中のKさん(この店を実質仕切ってる人)に呼ばれた。 やはり断るよう言われていた。 不安そうな顔をするSさん。 (頑張って、Sさん。) 私は心の中で思った。 「あ~ん!さっき30分後にいける言うたやないか!」 (やっぱりな・・・) 案の定、ゴネだした。 「そうよ!さっきアンタ、30分後できる言うたやない!」 女も一緒になって言い出した。 (できの悪い女やの~) 私は心の中で思った。 内の嫁さんだったら、絶対に言わないだろうと思った。 普通、旦那なり彼氏の手綱締めるんが、できる女だなぁと私は思う。 私は、いつ助け船を出しに行こうかとタイミングを計っていた。 ただ、助け船を出しに行くと、すぐには終わりそうにはなかったので、今、施術中のお客様に迷惑がかかってしまう。
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