第3章 超強揉みの男

2/7
前へ
/32ページ
次へ
「じゃあ、120分で。」 それとなく、座っているお客様の隣を通ると、中年の男性だった。 私は休憩室に戻り、同僚に120分コースだったと伝えた。 私の働いているところは、完全歩合制なのでお客様につかないとお金にならない。 時給が1800円なので、2時間にお客様1人できればひと安心みたいなかんじだった。 だけど、正直、2時間揉みっぱなしというのはキツイ。できれば60分コースがポンポンポンと入るのが理想だけれど、そうそううまくはいかない。 休憩室に戻り、同僚とたわいもない話のつづきをしていた。 「すいませんっ!変わってもらえますかっ!」 5分ほどしたら、お客様についていたスタッフが血相を変えて休憩室に入ってきた。 話を聞くと、お客様から「もっと強く、もっと強く!」と言われ、とてもじゃないけど、2時間もたないと思って助けを求めてきた。 その日は私を含め男性スタッフのみ4人だった。 順番からいくと2番目のスタッフが行くところなのだが、男性スタッフが助けを求めるというのは相当な強者だとわかっていたので、2番目と3番目のスタッフがダチョウ倶楽部のように「どうぞ!どうぞ!」と譲り合っていた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加