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「島田よぅ、死んだ人間が夢枕に立ったことあるか?」 あの夜の一件以来、しばらく夜は寝ずに、代わりに執務のすきをみて昼寝をする生活になっていた。それを島田に見つかり、訳を聞かれてしまった。 島田魁は貴重な古参の隊士だ。大柄で厳つい顔つきだが、心根は優しく面倒見がよい奴だ。 「へぇ!?……俺は無いですが……局長、誰かに立たれたんですか?」 近藤さんが亡くなってから、局長と呼ばれるようになった。年明けからしばらくは『奉行並』なんて呼ばれもしたが、ガラじゃねぇと言ったために隊士からはそれまで通り『局長』と呼ばれている。俺が局長ってのも本当はどうかと思うが、やめろとも言えなかった。 「……誰か分かんねーが、立つんだよ」 実は立たれることについては既に受け入れてしまっていて、それを相手に弱音を垂れたり、あまつさえ接吻したかもしれねぇなんてことが問題だ、なんてことは言えねぇが。
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