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「局長~!コイツ知ってますか!?」 結局、どうするか決めかねているうちに仕事の速い島田が祓い屋を見つけてしまったようだ。 「……誰だよ」 普段より低い声になってしまったのは致し方ないだろう。 「コイツ、山崎林五郎って言って烝の弟です!仙台で加入した奴なんですけど。なんか、そっち方面に詳しいって」 「ほぉ……」 市中取締りをしている奴だ。顔は知っていた。 しかし……山崎の弟だったか。山崎から弟がいるということは聞いたことがある。顔は、まぁ似ていなくもない。が、体格は弟のほうがデカイ。 黒の羽織に縦縞模様の袴姿のそいつはぺこりと頭を下げた。 「山崎林五郎と申します。よろしゅうお願いします。土方局長」 山崎より少し幼い声だったが、懐かしい上方訛りに不覚にも胸が熱くなってしまった。
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