27人が本棚に入れています
本棚に追加
早く早くと島田が急かすので、早速山崎弟を自室へ連れてきた。
「何か感じるか?」
「……いえ、今は何も」
「……まだ昼だからな」
じろっと島田を見やる。
「で、ですよね~。じゃぁ、林五!今夜は頼んだぞ!」
島田は大げさに山崎弟の肩を叩き、室を出て行った。
急に二人になってしまい、少々気まずい空気が流れる。
「あ、えーと、島田の言うことは気にすんな。今夜も来なくていい」
「え、ですが……」
「あいつが心配性なだけで俺は大丈夫なんだ」
山崎弟も兄のように表情からは感情が分からない。だが声の響きから、そう迷惑に思っているわけではなさそうだった。だが、言外に今回の一件を断った。
「でも、霊が出て迷惑されていると」
あっさり引くだろうと思っていたんだが、予想に反し関わろうとしやがった?
「あ、いや、何つーか、それ程迷惑もしてないんだ」
「……え?」
兄より若干垂れ気味の目が僅かに見開かれた。
「いや、とにかく、そういうことだからいいんだ。手間掛けて悪かったな。戻ってくれ」
「………はぁ、ほな、失礼致します」
そいつが何かを言おうとしている間に畳みかけると、それ以上は言わずしぶしぶといった様子で退室して行った。
最初のコメントを投稿しよう!