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早く早くと島田が急かすので、早速山崎弟を自室へ連れてきた。 「何か感じるか?」 「……いえ、今は何も」 「……まだ昼だからな」 じろっと島田を見やる。 「で、ですよね~。じゃぁ、林五!今夜は頼んだぞ!」 島田は大げさに山崎弟の肩を叩き、室を出て行った。 急に二人になってしまい、少々気まずい空気が流れる。 「あ、えーと、島田の言うことは気にすんな。今夜も来なくていい」 「え、ですが……」 「あいつが心配性なだけで俺は大丈夫なんだ」 山崎弟も兄のように表情からは感情が分からない。だが声の響きから、そう迷惑に思っているわけではなさそうだった。だが、言外に今回の一件を断った。 「でも、霊が出て迷惑されていると」 あっさり引くだろうと思っていたんだが、予想に反し関わろうとしやがった? 「あ、いや、何つーか、それ程迷惑もしてないんだ」 「……え?」 兄より若干垂れ気味の目が僅かに見開かれた。 「いや、とにかく、そういうことだからいいんだ。手間掛けて悪かったな。戻ってくれ」 「………はぁ、ほな、失礼致します」 そいつが何かを言おうとしている間に畳みかけると、それ以上は言わずしぶしぶといった様子で退室して行った。
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