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元治元年の池田屋事件にも参加した古参の隊士に蟻通勘吾という者がいる。一番隊、つまり沖田総司の下にいた隊士だ。 会津戦争の際に重傷を負い、色々あって今は函館病院に入院しているのだが、病状が良くないらしいと連絡が入った。 本人の希望と島田らの願いにより、これからは同隊で看病したい、というので引き取りに来たのだ。 骨折して入院していた小姓の田村銀之助が動けるようになったというので、ついでにこいつも。 島田が蟻通を抱き上げて、台車に乗せた。蟻通の顔色はあまり良くないように見える。 「具合はどうだ?」 「土方局長、わざわざご足労頂いてすんませんっ……ずっとこんな調子で……こんなんで参っちまったら、あっちで沖田隊長に合わせる顔がありません……」
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