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それから時々、その何かは現れるようになった。 不穏な気配でも感じれば飛び起きて斬りかかるところだが、その気配もなくだた居るだけ。 (んだよ、気持ちわりぃ) 何が気持ち悪いって、ただ居る奴も気持ち悪いが、放っておく自分も気持ち悪い。そのうち、あまりに薄い気配に、ああ、これって幽霊とかいう奴か、と半ば納得していた。 (そろそろ死期が近ぇのかな。それならそれで、いいか) 異質なものでも、何度も体験すれば次第に慣れ、余裕が生まれるようになる。始めは金縛りのような状態だったが、少しづつ声が出せるようになってきた。 「……てめー誰だ?俺を連れに来たんだろ?」 「」 「それとも何か恨み事でも言いに来たか?」 「」 相手は何も言わないので、勝手に話すことにした。 「恨みつらみなら聞いてやるから、連れてくなら戦いのさ中にしてくれよ」 「」 俺が粛清を命じた隊士なのか、先の戦で殉職した奴なのか、それとも敵方か。分からないが、夢枕に立ってまで俺に文句を言いに来たってんなら、その心意気に免じて聞いてやってもいい。
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