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ゾンビ何てものを、生きて目の当たりにするとは思ってもいなかった。
とは言え、あれが本当にゾンビなのかは分からない。
ただ映画やゲーム等の媒体で見て来たモノに、余りにも似通った共通点が有るからそう判断を下した。
死んでいると明らかに判る肌や肉の色。露出する骨に臓器、ごっそり抜け落ちた髪。白目を剥いて有らぬ方向に首を向けている癖に、何を頼りにするか確実にこちらを追って来る習性。
それもしつこい。
障害物が有ろうが無かろうが、常に最短距離で追って来る。身体の一部が壊れてもだ。
ああ、知っている知識と大きく違う点が一つ有った。
奴等は人の肉は喰わない。
噛み千切りはするが、咀嚼し飲み込む行為は見せないのだ。
だが噛まれた者は、確実に奴等と同じになる点は違わないと予測出来た。
身に着ける衣服のボロボロさ所か、奴等の肉体の壊れっぷりの差に簡単に予想が付いたのだ。
何度かに分けられ、この島には人が送り込まれていると。
ああなるのがウィルスならばワクチンは無いのかとも思うが、残念ながらゲームですらないこの状況下にそんなアイテムは期待出来ない。
クルーズ船の船員達は、こうなると最初から知っていた何等かのスタッフなのだろう。
この無人島と言われる島に降りもしなければ、私達を置き去りにして行ったのだから。
実際は実験場で、何処かで誰かが監視しているのだろう。
冷ややかな興味を持って。
そいつ等は一体他人の命を何だと思っているのだ。
だが、車椅子の女性一人救えなかった私達も同類に過ぎない。
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