12.月の裏側

6/7
前へ
/166ページ
次へ
「レア……妹を幸せにしたい。 レア……レアをもっと幸せにしたくなった…… レア……おれがいなくなることで……レアは傷つく…… レア……けど、忘れないで…… レア……その傷を癒やすために……またレアはだれかと……巡り合う…… レア……必ず……レアを必要としてくれる奴が……また現れる…… おれが妹を失ったあと……レアと巡り合ったように…… レア……もっと大きな愛をつかめるよ…… くやしいけど……わかるんだ……おれが……そうだから…… レア……だから……捨てないで……レアの心も命も…… レア……そのときは怖れないで……拒まないでほしい……」 「祐真、あたし、がんばるから。だから、祐真もがんばってっ」 レアはふるえる手で受話器を取りあげ、フロントに真貴への連絡を依頼した。 緊急事態をうまく伝えられているかどうかもわからない。 「レア……手を……」 レアは力なく手探りで伸ばした祐真の手に触れた。 祐真が弱く握り返す。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

413人が本棚に入れています
本棚に追加