12.月の裏側

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「レア……真貴さんが来たら……真貴さんの云うとおりにして……レアを守るためだから」 「うん」 「レア……あとでバッグのなかを見て」 「うん」 「レア……レアに何も遺してやれなかった」 「そんなことない」 「レア……おれはこれからたぶん……月の裏側に……逝くんだ。だからレア……地球(ココ)に……生きて……いつも……レアの姿が見られるように」 「祐真、独りじゃさみしいでしょ!?」 「はは……大丈夫……レアの心を持っていくから……レアの……幸せを見届けるまで……ちゃんといるから……」 「祐真、愛してる。大好き」 「レア……欲しい答えが……はじめて聞けた……レア……後悔しないで……おれも……後悔してない……」 「あたし、幸せだから後悔しない」 「レア……寒い……眠い…………」 「ゆうまっ」 「レアを……だれよりも……愛してる……レア……ありが……とう…………レア――――」 ……ゆう……ま…………。 レアの手を握っていた祐真の手から力が途絶えた。
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