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何も考えられないまま、ブルームーンが輝くこの日、遠くから祐真を見送った。
その間ずっと、レアに寄り添うように、空からは祐真の涙がやさしく降り注いでいた。
いまだに混乱した心は感情を麻痺させている。
わがままを云ってこの地を去るのを遅らせた。
このまま、出会った地で泣くことができなかったら、急ぎすぎた幸せの時間がただの夢になってしまいそうな気がした。
何も耳に入らず、祐真のジャケットに顔をうずめて夜をただ待ち続ける。
時が止まり、この世界で自分だけが呼吸しているような畏れを抱いた頃、待ち望んだブルームーンが海を照らしていく。
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