前奏

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前奏

所々に縦長い染みが目につくクリーム色の団地が道の両脇に建ち並ぶ。 その間を車で通り抜けていった。 一メートルくらいの高さの堤防が現れ、その向こうに緩やかに波立つ海が見える。 遊歩道手前の駐車場に車を止めた。 エンジン音が消えたと同時に車内の温度が少し上昇する。 ドアを開けると、涼しさになじんでいた躰は一気に汗ばんだ。 九月に入ったとはいえ、夏はまだその気配を秋に譲るつもりはないらしい。 煙草をつかんで遊歩道に入った。 堤防は道沿いに遠くまで続いている。 ただ歩き続けた。
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