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視線を感じる。
訝しげなものもあれば、嘲笑に近いもの、好奇心丸出しのもの。
比佐はそれら全てを受け流した。
いちいち気にしていては、身が持たない。
しばらくすると、放課後の廊下にはもう誰も残ってはいなかった。
荒木はまだ出てこない。
入り口をずっと見ていたのだから、窓から逃げない限りは捕まえられる筈だ。
「永ちゃん。………何してるの?」
荒木は窓にもたれて外を眺めていた。
もっともこの教室から見える景色は………。
「ほら、あの席。比佐ちゃんの席。………知らなかったでしょ?」
荒木が悪戯が成功した子供のような顔で振り向く。
「………見てたの?」
「もちろん」
「……そう。…………もう、見ないの?」
狡い聞き方だと、言った瞬間に後悔した。
「比佐ちゃんは、どうして欲しい?」
だが荒木はさらに狡い答えを返した。
いつも優しげな彼の瞳が、何か大切なものを見つけた時のような煌きをみせる。
比佐は、ゆっくりと口を開きーーー。
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