彼女のキモチ

3/17
前へ
/39ページ
次へ
*** 「………なんでよ。意味がわからない」 比佐の幼馴染である荒木は、「だよなぁ。比佐ちゃん、嫌だよね」と、しゅんと項垂れた。 嫌なわけでは、ない。 ただ少し………戸惑ったのだ。 荒木とは幼稚園から同じで、親同士も仲が良い。 小さな頃から姉弟のように一緒に育った。 だから、今さら「俺たち、付き合おう」などと言われても何かの冗談にしか思えなかったのだ。 「本気なの………?」 首を傾げる比佐に、荒木は優しげな目元をさらに和らげて頷いた。 「もちろん。俺が比佐ちゃんを大好きなのは、知ってるでしょ」 好きだから、比佐ちゃんを自分のものにしたいのだと、荒木は言う。 知って、いるけれど。 それは比佐の本意ではない。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加