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「………なんでよ。意味がわからない」
比佐の幼馴染である荒木は、「だよなぁ。比佐ちゃん、嫌だよね」と、しゅんと項垂れた。
嫌なわけでは、ない。
ただ少し………戸惑ったのだ。
荒木とは幼稚園から同じで、親同士も仲が良い。
小さな頃から姉弟のように一緒に育った。
だから、今さら「俺たち、付き合おう」などと言われても何かの冗談にしか思えなかったのだ。
「本気なの………?」
首を傾げる比佐に、荒木は優しげな目元をさらに和らげて頷いた。
「もちろん。俺が比佐ちゃんを大好きなのは、知ってるでしょ」
好きだから、比佐ちゃんを自分のものにしたいのだと、荒木は言う。
知って、いるけれど。
それは比佐の本意ではない。
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