彼女のキモチ

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そもそも、「俺のもの」発言はいかがなものかと思うのだ。 自分は誰かの所有物になるつもりはない。 僅かな抗議の意味を込めて荒木を睨みつけると、彼は大きな手を比佐の頭に乗せて笑い出した。 「ああ、うん。ごめん、俺が悪かった。比佐ちゃんが嫌いな言い方だったな。だけど、気持ちは変わらないから。比佐ちゃんを誰かに渡したくない」 だから。 自分は自分のものであって、誰かのものではないと、言っているのに。 「じゃあさ、一ヶ月だけ。お試し、ってどう?その間、ちゃんと俺を見てよ。比佐ちゃんの彼氏として、頑張るから。………弟じゃなく、恋人だと思って欲しい」 「それで無理だって言うなら、諦めるから」 いつになく真面目に響く低い声音が、比佐の感情の何かを揺らし。 「………仕方がないわね。一ヶ月よ」 いつの間にか、荒木のペースに嵌っているのだった。
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