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荒木と比佐が付き合っているという噂は瞬く間に広まった。
校内だけではなく、他校生にも知れ渡っているようだと、比佐と仲の良いクラスメイトの真奈美が教えてくれた。
「やっとくっついたか。ほんと、いつまで引っ張るのかと思ってた」
「………そんなんじゃ、ないもの」
お試しで付き合うにあたって、荒木は条件をいくつか出してきた。
ひとつ。
お試しだと、誰にも言わないこと。
ふたつ。
登下校は手を繋ぐこと。
みっつ。
比佐ちゃんが俺を好きになった時点で、ホンモノの恋人になること。
正直、みっつ目の条件が比佐には良くわからなかった。
そもそも、何故自分が条件を出される側なのだろうか。
だが、実際のところどれも大した条件ではない。
比佐は承諾した。
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