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「ねえ、どしたの?なんか、変な顔してる」
真奈美が不思議そうな顔で比佐の頬をつついた。
「………失礼ね。変な顔は元からよ」
「比佐が変な顔なら、世の中の8割は崩れた顔だと思うけど?」
何を言っているのだと言い返そうとした比佐に、真奈美が心配そうな眼差しを向けた。
「………比佐、無理してない?なんか顔色も悪いし……保健室…」
真奈美が何を言っていたのかは、比佐には聞き取れなかった。
耳鳴りがする……そう思った直後に意識を手放したからだ。
保健室で目を覚ました比佐は、荒木が心配そうに覗き込んでいることに驚いた。
「………っ、な、なに?」
間近にある荒木の長い睫毛が、また何かの感情を刺激する。
ーーー近い、と。
生まれて初めて、比佐は荒木との距離を考えた。
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