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「比佐ちゃん、心配した。心臓が止まるかと思った……」
「………わざとじゃない。けど、ごめん」
「ちゃんとご飯、食べてるの?」
痛いところを突かれた、と思う。
最近どうにも食欲がないのだ。
こんな調子では、夏を越すまえに数回倒れそうな気がする。
比佐はゆっくりと首を横に振った。
「………俺の、せい?」
神妙な顔で、何を言い出すのかと思えば。
荒木は大きな身体を丸めるように俯いていた。
「違うから。それに、あと一週間でしょう。……気にしないで」
本当は、半分あたっている。
食欲が無いのは、悩んでいるからだ。
比佐には自分が何を考えているのかわからなかった。
荒木を恋人としてみろと言われたが、恋人とは一体なんなのだ。
今までの自分たちと、一体何が違うのか。
ーーー距離、だろうか。
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