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 クニが口をはさんだ。 「それより急にどうしたんだ? だいたいカイとジャンは反逆罪で訴えられたんじゃないのか」  カイがいった。 「ああ、そうだ。おれたちははめられたんだ。身に覚えのない罪をそそぐために、働かされることになった。命がけでな」  小柄なジャンが口を開いた。 「あの営倉のなかで一生過ごすよりはましだよ」  ジャンはクニの皿から子牛のカツをひと切れつまむと口に放りこんだ。 「やっぱり士官用食堂は違うな。独房の飯はひどいもんだったから。麦飯なんて砂が混ざってるんだぞ」  タツオはリーダーのスリランに聞いた。 「カイがいったのはどういうことなんだ?」 「ぼくたちは明日、ウルルクに発つことになった」 「なんだって!」  声を裏返したのはクニだった。 「だってウルルクは氾とエウロペの共同統治下だろう」 「そうだよ。正確には氾とエウロペが南北にウルルクを分割統治している。そこに旧ウルルク王国の独立派が勢力を伸ばし、三つ巴(どもえ)の戦いになっているんだ」
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