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ジョージが興味深い様子で質問した。
「氾とエウロペは連合軍を組んでいるくせに、うまくいってないのか」
「ああウルルク中央山岳地帯に眠る天然ガスを巡って争ってるんだ。資源はどちらも喉から手が出るほど欲しいから。その山岳地帯にウルルク王国軍の残党が集結してゲリラ戦を展開している。ぼくたち4人はその激戦区に送りこまれる」
カイがいう。
「最初からこの絵にはめるために、おれたちを国家反逆罪で訴えたんじゃないかって気がするんだよ。おれはさ」
ジャンが続けた。
「だってそうだよね。ぼくとカイに有罪を証明するような物的証拠はなにも見つからなかった。ウルルクで親戚が当局に拘束(こうそく)されたという話だけで、有罪だっていうんだ。親戚をかばうためにスパイになったって」
カイが分厚い胸を叩いた。進駐軍の制服の胸を見ると、タツオと同じ少尉の階級章が縫いつけてある。
「最初から犯してもいない罪の無罪を証明するために最前線にいくんだ。先遣隊(せんけんたい)としてな」
クニが気安い調子でいった。
「そうか、それは災難だったな」
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