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『・・・そぉいや、俺の名前言ってなかったね?俺の名前は「ストープッ!いい!言わないで!」
女は俺の目の前に立てた人差し指を俺の口に押しあてて言った。
『なんで?』
首を傾げて問えば女はニヤリと笑う。
「だってぇ、ただの1日限りのカップルより、名前も知らない方がドラマチックじゃない??」
首をかしげた女があまりに楽しそうに笑うから、俺も思わず笑ってしまった。
海から離れ、少しだけ夜の街をブラつくと、道の隅に露店が出ていた。
それが本能なのか、女の足がそちらに流れるのを見て思わず笑みがこぼれてしまった。
「かわいー…。きれー…。」
どうやら、アクセサリー系の露店らしい。
女は夢中になって眺めていた。
「あッ、そうだ!記念に指輪買ぉぅょ!?」
『記念?』
「そぅ!私達が出会った記念!!」
『・・・・。』
正直、財布の中も大夫貧しい。
そんな事も考慮して、俺はシンプルなシルバーリングを2つ買って、名前の代わりに今日の日付けを掘って貰った。
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