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「じゃあ、今年の文化祭はお化け屋敷で決定です」
教壇の上に立っている天国(あまくに)さんが両手を叩くと、皆がそれに賛同するように拍手を始めた。
彼女の隣にいる僕は両手を叩きながら肘で彼女に合図を送る。
「本当にこれでいいの、天国さん?」
「しょうがないじゃない。決まったんだから」
彼女は微笑みを崩さずお化け屋敷と黒板に書いていく。
「ではまた明日、出し物を決めますのでよろしくお願いします」
彼女の一声でクラスは魂を取り戻したように、それぞれが思う方向へと動いていった。
「ふふ、でも私のクラスでお化け屋敷をするなんてね」
彼女は薄笑いをしながら僕を見る。
「本当だよ」僕は頭を悩ませながらいう。「天国さんが幽霊なんだから、このクラスは毎日お化け屋敷なんだけどね」
「……そうだね」
そういって天国さんは笑った。
僕の名前は寺内守(てらうち まもる)。僕と天国さんが文化祭の実行委員となってしまったため、今日は教壇に立つ天国さんの進行の下、クラスの出し物を多数決で決めていたところだ。
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