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僕は名前の通り、実家はお寺であり、僕自身も坊主になることが決まっている。そんな僕がなぜ幽霊の彼女と仲良くできるかというと、彼女は初恋の相手であり幼馴染だったのだ。
もちろん、それは、生きていた時の彼女だったのだけど――。
「じゃあ出し物を決めようか」
お互いに机を合わせ具体的な案を練ることにした。今この教室には僕と天国さんしかいない。
「じゃあ寺内君、何か案がある?」
「うーん」
……これは難しいぞ。
僕は頭を悩ませる。本物の幽霊がいるのだから、ここで普通のお化け屋敷をするのも惜しい。だからといって彼女が幽霊だとばれても困る。
ちょうどいい案を考えているのだが、これが中々思いつかない。
「天国さんはお化け屋敷行ったことある?」
「ないわね」
「……え。あ、そうか」僕は声を漏らしながら思い過ごす。彼女は天国さんであって天国さんではない。今の彼女の記憶には僕と過ごした記憶がないのだ。
天国祐子(ゆうこ)ちゃんの意識はすでに亡くなっており、彼女の体を動かしているのは全て、幽霊であるユウコさんの仕業だ。
祐子ちゃんといったお化け屋敷を思い出す。
彼女は可憐で花が好きな子だった。小さい頃から親同士が仲良くて、僕達はいつも一緒だった。彼女の両親が葬儀屋さんで僕の両親がお寺だったから、関係は強かった。
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