0人が本棚に入れています
本棚に追加
「まあ、お化け屋敷っていうのはアトラクションなんだよ」僕はなるべくわかりやすく彼女に説明した。「わざわざお金を払って怖い所に行くのはドキドキしたい、楽しみたいっていう気持ちがあっていくものなんだ」
「そうなのね」
彼女の表情に祐子ちゃんの表情は見えない。
祐子ちゃんは僕といった遊園地の帰り、交通事故にあって亡くなった。彼女の通夜で父がお経を上げている時、彼女は突然生き返ったのだ。棺の中には彼女が好きなピンクの撫子が包まれており、彼女は花を眺めながら目を覚ました。
その後、病院の検査を通して彼女に異常はなかった。ただ1つ、彼女が本物の祐子ちゃんではないということだけを残して。
僕は彼女に告白していたのだが、結局答えを訊けず終いだった。もちろん今までで、一度も本人が登場したことはない。
「私の住んでいた時の村にね、火を噴くおじさんがいたの」天国さんは話し出した。「火を噴くための油を飲み過ぎて死んじゃったんだけど、これはお化け屋敷になるの?笑い話になるとは思うのだけど」
……わ、笑えねえ。
彼女のジョークはブラック過ぎて高校生の僕にはきつい。
「そういうのは見世物小屋って呼ばれるやつだね」
最初のコメントを投稿しよう!