第1章

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 僕は彼女の話を反らすことにした。 「お化け屋敷ってさ、大体2パターンあるんだ。静かな中、じわじわと怖がらせていくのと、わっと驚かすような動きのあるアクションの2つなんだ」 「なるほど、そういうものなのね」  再びお化け屋敷の案を二人で練る。もちろん二つのパターンともできるのが理想だが、クラス部屋は1つしか使えない。やるとしてもどちらか一本に絞らなければならないのだ。 「二パターンのうち、消去法で考えようよ。ゆっくりとしたホラー的なアクションから考えてみよう」 「そうね、じゃあこういうのはどうかしら?」  彼女は頭を悩ませながらいった。 「私が幽霊になるまでの過程を書いた日記を朗読するというのはどう?」 「ゆっくりしすぎだし、怖過ぎるよ」僕は突っ込んだ。「そういう怖さじゃなくて、なんていうか、そこにあるはずがないものが目に見える恐怖じゃないと駄目なんだ。天国さんが幽霊って信じて貰うための会じゃないんだから、誰も来てくれなくなっちゃうよ」 「そうなのね」  彼女は表情を変えずに頷いた。 「じゃあ私が相手に乗り移るっていうのはどう?視覚的にも楽しめると思うわ」
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