飛んで回った

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「では助手よ。これより人体実験に移る」  助手はギクリと肩を竦めた。 「今からお前とこのドローンをオールミックス・ガシーン・マシーンの中に入れる。見事お前が飛行能力を身につけた“ドローン人間”になったら実験は大成功じゃ」 「ドローン人間ですか……。なんだか気が乗りませんね」 「たけのことゲーム機を合体させた“ニョッキッ機”も成功したんじゃ。きっとだいじょ~ぶっ!」 「何を根拠に大丈夫なんですか。あとネーミングセンスが……もういいです」  親指を鼻に当ておどけている博士を見て、助手の不安は増すばかりだった。  すると博士は(逃げられないよう)助手の肩をガッチリと掴んだ。 「空を自力で飛ぶのは人類の長きにわたる夢! 助手よ、その人類の夢が叶うか否かはお前のこの肩にかかっておるのじゃ!」  あまりにも一方的に理不尽な責任を押し付けられた助手だったが、 「……分かりました。僕、やりますっ! 僕が皆さんの夢をひと足先に叶えてみせます!」  長きに渡りマッドサイエンティストの近くに居たため、空を飛ぶ前に頭のネジが飛んでいた。 「では、実験を開始する」  マシーンの中にドローンを抱えた助手を押し込み扉を閉めると、博士は起動スイッチに指を伸ばした。 「じゃあ、今までありがとう。ポチっとな」 「え? 博士今何てうわっ!?」  洗濯機の中で洗われる衣類の如く激しく回転する助手とドローン。 「うっぎゃああぁあああぁあぁああぁあぁああぁ!!!???」  やがて、助手の断末魔は途絶えた。
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