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せっかくなので、家に戻る前に、私は練習に戻った斎を少しだけ見ていくことにした。
さっきとは全く違う表情。
キリリとした顔。
斎がコートに戻ると、空気が一変する。
斎の存在感に圧倒されながら、私はコートを後にしようとした。
その時。
ふと、南条君と目が合う。
南条君は、挑戦的な笑みを見せて、その顔を俯ける。
それを見て、苦笑する。
生意気なんだけど、どこか憎めなくて。
そして、あのプレー…。
斎の話しぶりから、南条君を気に入っているんだろうとは思っていたけれど、それも頷ける。
「さて!ちょこっと身体も動かしておかなきゃね~っ」
何せ、久しぶりだ。
斎は手加減してくれるだろうけど、あまり手加減させるのも癪だ。
せめて、普通に打ち合うくらいは出来ていたい。
私はグイッと空を仰いだ。
太陽が輝いている。
空が、青い。
夏、だ。
「あつーいっ!!」
いつもはゲンナリしてしまう程の暑さも、今なら平気。
私は気持ちを弾ませながら、家への道を小走りに駆け出した。
……サンダルが壊れないよう、気をつけながら。
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