Bright room

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カイの背中に腕を回す。 「私…カイに嫌われちゃったって思って…死にたくなった。」 きつく抱きしめられると涙が溢れた。 「カイじゃなきゃダメ…カイが…好き。」 「俺も…お前が好き。」 カイの唇が頬の涙にキスした。 「もうお前を泣かせたくない。お前が泣くと…俺も死にたくなる。」 「カイ…」 「もうお前を離してやらない。」 泣きながら頷く。 カイの真っ直ぐな瞳を見つめる。 待ち焦がれたカイの存在は、私を幸せにしてくれる。 もう何も要らないとさえ思わせる。 永遠にカイと抱き合っていられたら…それだけで幸せ。 今まで沢山苦しめられたのは、今日この日の為の試練だったんだ。 そう考えれば、全部許せてしまう… 母のことも、竹内のことも…全て。 私にはカイがいる。もう離さないって言ってくれるカイがいる。 そして今日から私には薔薇色の日々が、幸せな日々がずっと続くって信じられる。 「リカ…」 愛しいカイが私の名前を呼ぶ声のトーン…切なくて嬉しくて泣き出しそう。 唇が触れ合うと痺れるほど好きで満たされる。 カイに触れられると幸せに身体中が包まれる。 こんな気持ちは初めてだよ。 男の人に触れられて嬉しいなんて…生まれて初めてだよ。 私の身体は… 「っ!」 「リカ?」 私の身体は汚れている… 今まで…いろんな男が私を… 私は本当にカイに好きになってもらえる人間なんだろうか… カイは何も知らない…全てを話してしまったら嫌われるかもしれない。 全てを知ってしまったら、私を本当に好きなら…傷ついてしまうかもしれない… 「…お腹…空いたね。何か作るね。」 「……」
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