Bright room

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父が亡くなり、季節が秋から冬へと変わった。 もうすぐクリスマスで街は浮かれた人々が溢れている。 腕を組んだ恋人達、プレゼントの相談をする親子連れ、サンタさんの仮装ではしゃぐ数人の男女。 どこを向いてもクリスマスイルミネーションで夜でも明るくて綺麗。 みんながウキウキしてるのに、暗い顔をしてイルミネーションを見上げる私。 父が亡くなってから怖い夢は一切見なくなった。 本当に父が私の嫌なものを全て持っていったんじゃないかと感じた。 カイのことを傷つけられた時は本当に殴ってやりたい位に恨んだ父が…今では忘れられない大切な人になった。 穏やかで優しくて上品な人だった。 キラキラのイルミネーションの中を一人歩く。 いつもの公園を抜けてファミレスの前を通り過ぎると怒鳴り声が聞こえた。 ファミレスの裏口で怒鳴る店長らしき人と従業員のオバさん。 そんなに大声で怒鳴らないであげて… 耳を塞ぎたくなるような怒声に早く通り過ぎようと思うのに…私の足は止まった。 「っ!!」 う、動いて!私の足!お願いっ! 恐怖が身体を包み込み思わずしゃがみ込む。 ガクガクと震える足を腕で抱く。 誰かの足音が近づいてきて必死に立ち上がりその場を走り抜けた。 自宅のドアを開けて鍵をかけチェーンを掛ける。 どうして…あの人がうちの近所に? 恐怖が身体中を駆け巡り、玄関で崩れた。 ガタガタと震える身体を自分で抱きしめた。 助けて…お父さん… 心の中で叫ぶ。 もう大丈夫だって思ってた。 もしどこかで偶然出会ったって、立ち向えるくらい強くなったと思い込んでいた。 でも…私の中の母親は恐怖の対象でしかない。 あの人は…こんなにも近くにいた!!
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