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食料にクリスマスツリー、なんだか良くわからないものを大量に買い込んで父のマンションにカイを招待した。
呆然とマンションを見上げるカイ。
わかる、わかる。私も慣れるまで見上げちゃったもん。
「お前…こんなトコに住んでんの?」
「事情があって…ちゃんと話すから、とにかく荷物運ぼう。重くて手が千切れそう…」
「貸せって。」
カイに荷物を奪われてエレベーターに乗り込む。
玄関の鍵を開けて荷物を降ろすとカイは窓際に立ち尽くす。
「夜景…凄いんだよ。」
「お前…まさかまた援交とかしてんじゃねーだろうな?」
「してないよ!!」
急にいろんな感情が込み上げてきてカイに後ろからしがみつく。
「ちゃんと話すから聞いてくれる?」
「ああ。」
皮のソファに二人で腰掛ける。
「カイは…最後の日のこと覚えてる?」
「…ああ。」
「あの日…私達の前に現れた男の人…」
カイが眉を寄せる。
「ここは…あの人のマンションなの。」
驚いたカイが私の顔を眺める。
「たった一度…食事をしただけなんだけど…沢山お金をもらった。それが悪い事なのはわかってる!バカな事したって凄く後悔した…。」
「…お前…何言って…なんであの親父のマンション…」
立ち上がるカイの腕を掴む。
「お願いカイ!最後まで聞いて!」
「……」
ぎゅうっと自分の手を握りしめるカイの手を見つめた。
「最近になってわかったんだけど…あの人、私の父だったの。」
「は?」
「私も信じられなかった。父も物凄く…驚いてた。」
「偶然…なのか?」
「父は…ずっと私を探してくれていたみたい。来て、カイ。」
カイの手を引きあの部屋のクローゼットを開く。
「…?」
リカと名前のついた女の子には全て印が付いている。
「笑っちゃうくらい変な探し方だよね。」
「……」
「父に再会したのは2カ月前。病気で亡くなったの。」
カイが顔を上げる。
「そして私は…ここに…」
「リカ…」
「カイを傷つけた父のことが許せなかった…バカな事をしたのは私だけど…」
カイが私を抱き寄せる。
「俺は…傷ついた訳じゃない。」
「えっ?」
「お前の親父が言ったことは正しい。俺は…お前にバカな事をさせた事と、これからもお前が俺に会う為にバカな事やらかすんじゃないかって…怖くなったんだ。」
「カイ…」
「俺がもっと…信頼できる男だったら、お前に無理させたりしなかった。」
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