第1章 ワースト1の一日

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彼女って言うほどでもない、セフレに近い彼女に振られた。 真冬の馬鹿みたいに寒い中で傘を忘れて、さすがに濡れて帰るには風邪どころか肺炎を覚悟しないといけなそうで。 だからその彼女とどっか空き教室で時間を潰そうと思っていた。 ところがその彼女は怪訝な顔で他の同級生の女の子と俺の仲を問い詰めてくる。 どっちもどっちでセフレに近いし、適当に答えたら キレられた。 「最悪」 ビンタとかマジで有り得ない。 ドラマじゃあるまいし。 別に高校生の付き合いに真剣も何もないと思うんだ。 大人じゃないんだから、ちゃんと避妊してればいいじゃん。 まだ子供だよ高校生なんて、結婚とかそんな話に発展する恋愛でもなければ歳でもない。 雪ならまだしも雨じゃ帰るに帰れない。 だって、二月だぞ。 仕方なしにぶたれた頬を図書室の机に押し当てて冷やしながら、雨が上がるのを待っていた。 山仲も田代も帰りやがって。 バレンタイン用に作った彼女と相合傘して、アホかっつうの。 「いつ止むんだよ。これ」 図書室の窓から見える雨は強くないにしても止みそうにない。 変えたばかりのスマホを使ってこの辺りの天気を調べると、最悪な事に朝方まで止みそうになかった。 いつまで待ってても止まないなら、できるだけ早く帰るしかないって、考えることは皆同じみたいで、いつもは無視されて置き忘れられたままの傘達は全部傘立てからは消えていた。 「マジで早く帰っておけば良かった」 仕方がない。 途中のコンビニまでダッシュで行って、傘を買うしかなかった。
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