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『乙女の純情を踏みにじる悪党は、愛と正義の魔法少女、ミルキー・ユウが許さない!』
今日も俺はお気に入りのアニメを1話からぶっ通しで視聴していた。
“魔法少女ミルキー・ユウ”は、俺の嫁。部屋の棚にはフィギュアが飾られ、壁や天井、窓に至るまでポスターやタペストリーが張り巡らされ、机の上にはマウスパッド、ベッドの上には抱き枕が置かれている。
まさに聖域。ミルキータンだけが俺の心の拠り所。
……と、思っていたのが昨日の事。
『は、はじめましてフェリアです。ご主人たま、フェリアを可愛がってくらさい』
今日から始まった新番組、“アマロリ妖精フェリア”を観た俺の心臓は雷に撃たれたほどの衝撃を受けた。
…………いい。
黒目がちの大きな瞳。獣を思わせる尖った耳。水色のアホ毛付きショートカット。華が咲いているようなフリフリの衣装。そして甘くとろける舌っ足らずなロリボイス。
萌え度120パーセントの完璧なキャラクターに、俺は光の速さで一目惚れした。
この日から俺はフェリアタンのグッズを買いあさり、部屋に飾りまくった。
新たに誕生した聖域に、俺の心はすっかりフェリアタンで満たされていた。
それにしても押し入れがいっぱいになってきたな。そろそろ処分するか。
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