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深夜。
……あれ?
う、動けない?
目を覚ますと、俺はまるで金縛りにあったかのように身動きひとつできないでいた。
その時、枕元の電気スタンドがひとりでに点き、動けなかった原因が明るみにされた。
なんと、見ればパジャマがベッドに縫い付けられていたのだ。
どういう事だ。これじゃあまるでガリバー旅行記じゃないか。一体誰がこんなイタズラを--
『目、覚メタ?』
その無機質な声に、俺は顎を上げ頭の方を見た。
「…………ミルキー、タン?」
俺の目に逆さまに映ったのは、つい最近押し入れにしまったハズのミルキー・ユウのフィギュア。
そのポリ塩化ビニル製のフィギュアが、まるで糸で操作されているようにひとりでに動いていた。
『貴方コノ前マデ、ワタシノ事“俺ノ嫁”ッテ、言ッテタヨネ?』
そして人工知能を持ったかのように流暢に喋っている。
『ソレナノニドウシテ、押シ入レニシマッタノ? ドウシテ出シテクレナイノ? ドウシテ、別ノ子ヲ“嫁”ト呼ブノ? 貴方、ワタシダケヲ愛シテクレルト約束シテタヨネ?』
喋りながらゆっくり枕の周りを歩き顔のすぐ横まで来ると突然俺の眼球を覗き込んだ。
『コレッテヒョットシテ、不倫ッテヤツ?』
いつもの笑顔が逆に俺の恐怖心を掻き立て、俺は唯一動かせる口を開いた。
「ごっ、ごめん! もう二度とキミを押し入れにしまったりしないよおっ! 約束する! だから元に戻してくれえっ!」
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