絶望

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絶望

それは、2月の朝突然に始まった。 目覚めると、何故かだるい。 風邪かな? 熱を計ると、37.6度。 咳も無く、鼻水も出ない。 会社行ったら、そのうち治まるか? その時は、深くも考えずに会社へ。 それが、これから始まる一年半にも及ぶ、闘病生活の始まりだとも知らずに。 「亀山、熱が続いてるんだって?」 「病院は、行ったのか?」 会社の、常務からも心配されだす。 「はい、単なる風邪だって言われてます」 「でも、熱しか無いのですけど」 「2ヶ月続いてると聞いたけど、本当に大丈夫なのか?」 「わしの娘も昔、同じ症状だった事あるが、神経性だったぞ」 「紹介するから、一度診て貰えよ」 折角の、常務の好意。 教えられた病院に、行ってみる。 心療内科の看板。 何?此処? 取り合えず、受付済ませて診療室に。 「熱だけが、続いてるんですか?」 「他に症状は?」 「無いのですか」 「ひょっとしたら、心理的なものかも分かりませんね」 先ずは、呼吸法による精神のリラックス。 その後、自分の両手を握り、人差し指だけを立てる。 人差し指は、出来る限り近づけるが、決して触れてはいけない。
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