絶望

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「人差し指の間から、青い光が見えませんか?」 僕には、何も見えない。 「集中して!」 でも、何の変化も無い。 そんな治療を、毎回受ける。 しかし、熱は下がる事無く、とうとう38度を越えるように。 1ヶ月通っただろうか、僕は思う。 これは、違うと。 でも、近くの病院行けば風邪だとしか言われない。 熱だけが、三ヶ月以上続く風邪って? すると、僕の症状の噂を聞いた親戚が 「なんでも、医者にも見放された人が、助かっていると評判の祈祷所が有るんだけど、行ってみない?」 「普段、身につけてる物を持って行けば良いらしいから」 その頃は、常に38.5度以上の高熱。 僕も母親も、藁をも掴む思いで祈祷所に。 祈祷所は、朱塗りの門構え。 朱塗りの本殿に行くと、受付で祈祷内容と三万円を支払い、持参したネクタイを預ける。 本殿には、小さな舞台のようなものが設えてある。 その舞台に上がると、三方にネクタイが置かれ、その前に座らされる。 すると、巫装束の女性が現れ、舞を舞い祈祷が始まる。 僕も母も、頭を下げひたすら祈る。 暫くすると、祈祷が終わり、巫装束の女性が 「これは、私が特別に祈祷したサフランです」 そう言って、僕に懐紙に包んだサフランを手渡す。 「これを、お茶かお湯に入れて、飲んで下さい」 「さすれば、貴方の悩みは消えるでしょう」 僕は、思った。 《インチキ臭い》
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