18、因ネン

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不安げな顔で佇むしかない。 と、 そんな私と悠馬の瞳が合って、 「繭子さん……」 微かにそう呟いた様に見えた。 「―…と、もうこんな時間だ。繭子さん、楽屋に顔を出したいと思うのでそろそろ行きましょう」 誰もいなくなった二階席を見て、「さあ、一緒に」と柘植さんは私を連れて行こうとする。 「い、いえ……私は―…」 とてもじゃないけど今、柘植さんと楽屋に訪問することなんて出来ない。 それなのに私の肩を抱き、ここから連れて行こうとする柘植さん。 でも私は…… これ以上、柘植さんとは行動を共にするなんて、悠馬は―… そんな想いで悠馬を見つめると、 「駄目です」 という声の後、柘植さんの腕から離れることが出来た。 「あ……」 悠馬が私の腰を抱き寄せて、柘植さんの腕から逃してくれていた。
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